まず結論:Torでも「追跡されない」とは言い切れません

Torを使うと、通信の経路に関する情報の見え方が変わり、結果として追跡が難しくなることがあります。一方で、Torは万能な匿名化手段ではなく、状況や使い方によっては追跡される可能性が残ります。ここで大事なのは、「追跡される可能性がゼロかどうか」ではなく、「どの条件で追跡が成立しやすいか」を分けて考えることです。

追跡が生まれる“主な場所”:通信以外の手掛かり

追跡は、必ずしも通信経路だけから成立するわけではありません。たとえば次のような“別の手掛かり”があると、Torを使っていても識別や関連付けが起こり得ます。

  • ブラウザの設定や情報:表示言語、フォント、拡張機能、Cookieやログイン状態などが、同一利用者の特徴として残ることがあります。
  • アカウントの再利用:同じアカウントにログインして行動すると、別の観測点から関係づけられる可能性が高まります。
  • 入力内容・行動のパターン:検索語、投稿内容、閲覧の仕方が特徴になり、追跡の手掛かりになることがあります。
  • 端末側の要因:端末の設定、OSやアプリの状態、情報の共有の仕方によっては、通信経路以外で関連付けが進むことがあります。

「Torを使う=追跡不能」ではない理由(考え方)

Torは通信の経路を複数の中継を経由させることで、単一の観測点から全体像を得にくくする設計です。ただし、追跡は常に“最悪ケース”だけでなく、“別の情報源”を組み合わせたときに成立します。たとえば、同一端末や同一利用者の痕跡が積み重なると、経路が隠れていても関連付けが起こり得ます。

また、どの程度の追跡可能性が現実にあるかは、利用者の行動(ログイン、Cookie、入力の一貫性など)、閲覧先の挙動、端末環境、そして観測のされ方によって変わります。