まず結論:守りたい対象が違うから

オンラインの脅威から身を守るうえで、VPNとアンチウイルスの両方を持つことが重要なのは、両者が守ろうとしている対象(脅威の入り口)が違うからです。VPNは主に「通信の途中や周辺で起こるリスク」を減らす方向に働き、アンチウイルスは主に「端末がマルウェアに感染するリスク」へ対処します。結果として、片方だけではカバーしきれない部分を補い合う関係になります。

VPNが担う役割:通信をめぐるリスクへの対策

VPNは、インターネットに出るまでの通信を保護し、第三者が通信内容をのぞき見したり、通信の流れを追跡しようとする試みの影響を抑えることに役立ちます。たとえば、公共のWi-Fiなど環境によっては、通信が安全に保護されない状況が起こり得ます。このような場面でVPNを使うと、「通信が外部から見えにくくなる」ことが期待できます。

ただし注意点として、VPNは「端末に入ってきた悪意のあるソフト」を直接止める仕組みではありません。リンクを踏んで感染するタイプの脅威や、既に端末内で増殖しているマルウェアへの対処は、別の防御(アンチウイルス等)が必要になります。

アンチウイルスが担う役割:端末内の脅威に対処

アンチウイルスは、マルウェアの検知・防御、疑わしい挙動の抑止などを通じて、端末が攻撃者の意図する形に乗っ取られるリスクを下げることを目的とします。通信が保護されていても、ユーザーが不審なファイルを開いたり、偽サイトに誘導されたりして端末に悪意あるプログラムが入れば、被害が発生し得ます。

そのため、アンチウイルスは「感染後の被害を広げない」観点で意味があります。重要なのは、VPNが通信の入口周辺を弱めても、端末側の入口(実行・ダウンロード・実装)を放置したままだと、守りが途切れやすい点です。